和歌と俳句

良寛

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かからんと かねて知りせば たまぼこの 道行き人に 言傳てましを

この暮の うら悲しきに 草枕 旅の菴に 果てし君はも

子をもたぬ 身こそなかなか うれしけれ うつせみの世の 人にくらべて

かいなでて おひてひたして ちふふめて 今日は枯野に おくるなりけり

み子のために いとなむのりは しかすがに うき世の民に 及ぶなりけり

ますかがみ 手にとり持ちて 今日の日も ながめ暮しつ かげと姿と

我がごとや はかなきものは 又もあらじと 思へばいとど はかなかりけり

何ごとも 皆むかしとぞ なりにける 花に涙を そそぐ今日かも

あづさ弓 春を春とも おもほえず すぎにし子らが ことを思へば

人の子の 遊ぶを見れば にはたづみ 流るる涙 とどめかねつも

もの思 すべなき時は うちいでて 古野におふる なづなをぞ摘む

いつまでか 何なげくらん なげけども つきせぬものを 心まどひに

子を思ひ 思ふ心の ままならば その子に何の 罪をおふせん

子を思ひ すべなき時は おのが身を つみてこらせど 猶やまずけり

新たまの 年はふれども 面影の なほ目の前に 見ゆる心か

今よりは 思ふまじとは 思へども 思ひ出しては かこちぬるかな

思ふまじ 思ふまじとは 思へども 思ひ出しては 袖しぼるなり

こぞの春 折りて見せつる 梅の花 今は手向と なりにけるかも

唐衣 たちても居ても すべぞなき あまのかる藻の 思ひみだれて