和歌と俳句

後撰和歌集

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よみ人しらず
しぐれふりふりなば人に見せもあへず散りなば惜しみ折れる秋萩

つらゆき
ゆきかへり折りてかざさむあさなあさな鹿立ちならす野辺の秋萩

むねゆき朝臣
わがやどの庭の秋萩ちりぬめりのちみむ人やくやしと思はむ

よみ人しらず
白露のおかまく惜しき秋萩を折りてはさらに我やかくさん

つらゆき
秋萩の色つく秋をいたづらにあまたかぞへて老いぞしにける

天智天皇御製
秋の田のかりほのいほのとまをあらみわが衣手はつゆにぬれつつ

よみ人しらず
わが袖に露ぞおくなる天の河雲のしがらみ浪やこすらん

よみ人しらず
秋萩の枝もとををになり行くは白露おもくおけばなりけり

よみ人しらず
わがやどの尾花がうへの白露をけたすて玉にぬく物にもが

つらゆき
さを鹿の立ちならす小野の秋萩における白露我もけぬべし

つらゆき
秋の野の草はいととも見えなくにおく白露を玉とぬくらむ

文屋朝康
白露に風のふきしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞちりける

ただみね
秋の野におく白露をけさ見れば玉やしげるとおどろかれつつ

よみ人しらず
おくからに千草の色になるものを白露とのみ人のいふらん

よみ人しらず
白玉の秋のこのはにやどれると見ゆるはつゆのはかるなりけり

よみ人しらず
秋の野におく白露の消えさらば玉にぬきてもかけてみてまし

よみ人しらず
唐衣袖くづるまでおく露はわが身を秋の野とや見るらん

よみ人しらず
おほそらにわが袖ひとつあらなくにかなしく露やわきておくらん

よみ人しらず
あさごとにおく露そでにうけためてよのうき時の涙にぞかる

つらゆき
秋の野の草もわけぬをわが袖の物思ふなへにつゆけかるらん