和歌と俳句

藤原清輔

雁がねの 雲のよそなる たまづさに 心もそらに なりぞはてぬる

みつゆけば かはぞひ柳 うちなびき もとの心は ゆるぎげもなし

かくしつる 夜は古巣に ゆく鳥の かりのねぐらや わが身なるらむ

あだならず 頼むるさまは ももよ草 言の葉ばかり 見ゆる君かな

よなよなの そら頼めこそ うれしけれ 忘れずかほの なさけと思へば

なかなかに 隠れの小野の をみなへし 露のかたみを 何に置きけむ

つきもせず くもてにものを 思ふかな 途絶えがちなる ふるの長橋

逢ふことは 片ひさしなる まき柱 臥す夜もしらぬ 恋もするかな

よとともに 涙をのみも わかずかな 筑摩のなへに いらぬものゆゑ

おもかげに 立田の山の さくら花 あかでやみにし 人ぞかかりし

おぼつかな 薄くやけふは なりぬらむ 人の心も 衣がへして

山城の こまのわたりの うりよりも 辛きひとこそ たたまほしけれ

たに水に 空なる月も すむものを 雲居のなかに 思はずもがな

逢ふことを 頼むのかりの いかなれば 思ひかへりて 雲隠るらむ

つくづくと 思ひのこせる こともなき ながめは袖ぞ 濡れまさりける

あひみては 変はる心も あるものを つれなきなかに たえせざりけり

こしといはは まだ出ぬべきに あらねども 思ふあまりに 訪ふゆふげかな

かづきする 千賀の浦には すみながら みるめ刈るべき 方も知られず

つれなしと かつは三河の 八橋を なほ懲りずまに 恋ひわたるかな

われといへば 児の手柏の おもておもて とくひもろきも 結ぼほれつつ