2009年12月10〜13日じゅっくりの会in京都 記録     home  

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12日  渡辺菊眞さんに聞く   鼎談 アガカーン賞の王路 (森田一弥・渡辺菊眞・江崎貴洋)
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工繊大3年生・浅野翔さんに聞く

 渡辺菊眞さんに聞く 2009年12月12日 曇り 奈良県西大寺駅そば事務所

 その01 その02 その03 その04 その05 その06 その07

 その02

渡辺:それは存外に面白かったんですよ。トレースとかやってたいときと違って。
佐藤:設計条件はなっかったんですか 高さ制限とか

渡辺:まったく なかったです敷地だけがあって。あとはほとんどフリーでした。
佐藤:みんな いろんな形をつくってもって来ると
渡辺:そうですね。ぼくも変にった形を持っていったら

佐藤:形好きだったんだ
渡辺:そうです。形好きですね絵を描いているものは、やっぱり絵ぽい形になるんですね。
佐藤:絵ぽい形ってどいうい事?
渡辺:なんだろう、どちらかと言うと立面とかが派手!な感じですよね。ごてごてしてるから、

佐藤:見た目派なだ
渡辺:見た目が派手ははあはは、見た目が派手で。へんにトップライトとか一杯あったりするんですけど。そういうの持っていったら。当時 みていたお爺ちゃんの建築論などをやっている先生だったんですけど。「訳 解らないと言われて。まずトップライトもあるけれども、四方開け放っててトップライト何も効かないじゃないだろう! みたいなことを、割とまともな事を言われて。

佐藤:おれはトップライトをつけて下から見たいんだ、ではだめなんだ
渡辺:それともう一つ建築は何かシステムみたいになっていてるから、何んがやりたい事が一杯有り過ぎて、結局どれもやれてないからって言われまして。これが面白からこれだけ繰り返しやってみたらみたいな事を言われて。割と素直だったもんで、それはけどそうかな〜と思って。そしたら上手くいったんですねなるほどな〜と思って。絵でやっていて、どんどん付け加え描いてたときと まだ違ったものが、有るんだってことが

佐藤:何を繰り返したんですか
渡辺:単にがいっこ斜めになっていたグリットがあったですけど。斜めの柱をシツコク繰り返しただけでも!何か出来るだろうと言われて。でそれを組み合わせて作った。柱しか無いような建物になってしまったですけど

佐藤:最初、柱だらけの建築言語のようなものを知って
渡辺:そうですね
佐藤:赤ん坊の言語以前の  ああああを 柱で描いたわけだ
渡辺:はいはい
佐藤:言葉にはなってないけど 柱は建ったぞと。

渡辺:そうです
佐藤:それを繰り返し組み合わせたら なんか手応えがあっったと
渡辺:なんか手応えあった要するにをやっているときと別種の手応えみたいなもの何か感じて

佐藤:絵とどういうふうに違いましたか、それは
渡辺:何でしょうかね、絵における、単調な状態とその建築そのものの、面白さちょっと違うのかな〜というのがあって。例えば、やたら単純な斜めの柱みたいものガンガン組むものでも、そこに身を置いたら、最初描いてたものすごいヤヤコシイ物よりも単純か?というとそうでもないように感じたんですね。

佐藤:ただ単に斜めを組み合わせただけでも複雑なものに
渡辺:だからちょっとした仕組みをちょっとずらすだけで、何か摩訶不思議な状態みたいなものもあり得る、みたいな処を感じて。

佐藤:摩訶不思議好きなんだな
渡辺:はははは
佐藤:なるほど。それは2年生の時、これはけっこういけるかもしれないと。

    布野修司先生と出会う

渡辺:
これは面白いかもしれないと初めて思いまして。はい。そうこうしてたら、たぶんみんな言っているような事でしょうけど。2年の秋ぐらいに布野修司先生やって来て。
佐藤:東洋大 東京からね。1,2年はゼミには入らなくっていいと
渡辺:入らなくっていい、みんなと同じ授業受けるだけなんで。
佐藤:3年生になるときに布野先生が来たと

渡辺:2年の秋でしたかね。設計演習を観られるので。休憩所 の後の演習が布野先生だったんですけど。そんときも機能の無いようなものを作りなさいということもあって。今思うと とくに何て事ない課題だったですけれども。図面を一通り書くのと、模型を必ず作りなさいっていうのと。あとはその景観の売りみたいなものを少なくっても7箇条ぐらい書きなさいって言われて。

佐藤:話すんじゃなくって文章を書いて
渡辺:書きましょう!と 7行ぐらいは書けと7つぐらい売りがないとだめだというふうに言われまして。その事とか、普通の話なんですけど。ただそういったものは一セット揃っている課題を出してもらった事もあって。それも含めて、その前の休憩所で思っていた事をさらに面白く感じれる切っ掛けになるようなことがあって

佐藤:できるぞ、できたぞと

渡辺:そうですね
佐藤:お互いに見せて批評し合うんです
渡辺:最後、講評会みたいなのがあって。発表しながら突かれたりなんだりしたりとか、
佐藤:そこでプレゼンも初めて体験するわけだ
渡辺:そうですね。で、京都大学がそれまでそういう事まったくしない大学だった。課題は出すんですけど、出しっ放しっていうことがあって。
佐藤:どうなっているか分からないだ

渡辺:どうなっているか分からないけど 最後成績がついてる。あとは何か自分で判断しろみたいな。たぶん先生の手抜きなですけど、それに京都的な禅問答加わってみたいな話ですよね。はははは
佐藤:講評会めんどうで やりたかないだけじやないか

渡辺:
ははあっはははは京都っぽいイメージを出そうとはははははは、それが無くなったんですかね。

だから割と普通の大学に単になっただけだったんですけど。講評とか毎回するようになったんですよ。布野先生が来て。竹山先生も来られたりしたので。割と普通な事が行われるようになってふふふふ 健全に。ふははあはは。それが何か僕らには変に新鮮だ!って事があって。

佐藤:
みんな張りきったでしょうね
渡辺:みんなはりきったですよはい。
佐藤:講評し合うの これいいな〜と
渡辺:そうです

     (布野修司え ネットより)

佐藤:違いも分かるし競い合うこともできるしね
渡辺:そうですね。だから森田一弥山本麻子同じ学年なんですけど。
佐藤:3人がね
渡辺:同じです。同じ事の洗礼を受けているんですよだから。みんな最初よく分からないで入って来て。で、ああ設計は割と面白いな〜と思ったと。気付いたときに布野先生が入って来て。みたいなことがあって。で、それまでは暗黒の時代だったんだ京都大学も。

佐藤:ははは暗黒の時代はははは
渡辺:だだ普通の事が単に行われただけなんですけが凄いなというようなことがあって。
佐藤:アウトプットもできるし、見せ合い!競い合い!もできるようになったと。これはいけると
渡辺:そうですね。
佐藤:大学盛り上がるね〜
渡辺:本当に盛り上がったんです


     卒業設計  

佐藤:
それから 4年生のときは、
渡辺:4年生になるとゼミ配属があって。二つに分かれる。設計やりたい人は竹山先生の研究室に行くか、ちょっと設計だけじゃなくって何調査などもしたいな〜みたいな感じの奴は布野研究室に行くっていう。

佐藤:卒論 書くわけじゃないのね
渡辺:設計ですね。卒業制作を、ああ どっちでもいいですよ。布野研の場合は別に卒論でもいいんですけども。割と設計をやりたい奴も、僕らの学年から布野研に入ったので。
佐藤:調査付き設計ですか
渡辺:布野研の4年生のときは別に調査もしなくってよくって。まあどちらでも選びなさいということだったんですよ。

佐藤:どっちを選んだんですか
渡辺:とうぜん僕 設計の方なんですけど
佐藤:卒業設計は何を設計したんですか


渡辺:2転3転したんですが、最終的には福井県の東尋坊っていうのが
佐藤:自殺の名所と言われている
渡辺:自殺の名所みたいなものを直径500mぐらいのドームで囲い
佐藤:デカイねははは
渡辺:囲ってみたいな。よく訳の分からんのをつくったですよふはははは。何か自殺の名所なんですけど、何かもう

佐藤:500mという寸法は
渡辺:断崖絶壁があるゾーンが在って。それと海のある広がりとセットで、自殺の名所の風景みたいなのが成り立ってる。ギリギリ成り立つコンパクトな直径500mぐらいだみたいなははあははは

佐藤:山勘でね
渡辺:山勘で。というのも自殺の名所なんですけれども。名所という記号みたいなものだけが一人歩きしてて、でもギリギリまで土産物屋さんとか在るからんな所でいい自殺できないなって
佐藤:はははは

渡辺:思っちゃって囲い込んで もっと自殺に対して、一理有るような環境にしてあげないと
佐藤:自殺の環境を建築で整えてあげるとね、変わった建築の方法だね。普通はハッピーなことを考えると思うんだけどね
渡辺:ああそうなんですけど
佐藤:気持ちよくっていうか自殺を

渡辺:風景の何か欺瞞たいなものが嫌だったんです。京都とかそういう話が多いので。何とからしい風景とかってありますけども。要はその根拠って何なんだろう?っていう話があって。京都らしいとかいっつも言われてますけど。
佐藤:思考を停止させる決め技だからね
渡辺:そうですね、と言うような事と同じで、地方のまあ そういう名所とかも、いわゆる断崖ちょっとダケ在れば、それいいのか?っていう事だと変じゃないかな〜と思ってまして。

でお袋が福井なことあってから、昔は東尋坊というのはずーっと空き地が広がってて、かなり歩いて最後あそこに行って海があって
佐藤:お母さんにそういう話を聞いていたと
渡辺:聞いていたんですよ、それもあって
佐藤:なんだ土産物屋ばっかりだと

渡辺:土産物屋ばっかりで。けどそれでも皆さんは自殺の名所って刷り込まれているから、やっぱりあそこは自殺の名所だと思って見てしまう、恐さを感じてしまって。
佐藤:本当はもっと可能性があったはずなのに、それだけで終わってそうねと
渡辺:そうなんですよ、短絡的な反応も嫌だったので。そういうものを建築でどうにかできないかなみたいなことを思っていたんで

佐藤:風呂敷デカイですね
渡辺:ははははは
佐藤:自殺や有名地の概念を作りかえてやろうという話だから
渡辺:そうですね。
佐藤:やっぱり500mは要るわ!と

渡辺:500mはちっちゃいぐらいで
佐藤:それでまとまったですか
渡辺:一応、う〜ん。でも規模力量が追いつかなかったですね。ドームで囲い込むまではよくって、あとは外観とかも まあ作ったんですけれども。それを成り立たせる細部の仕掛けとかまで組み上げる能力が無かったのでいわゆる彫刻作品みたいなものが出来てしまって。

佐藤:なるほどまた建築から彫刻にスライドしたんだ
渡辺:あははははは
佐藤:つくるのは彫刻だったと

渡辺:お茶沸かしてたの忘れてた (と気づく)
佐藤:まずいよ 30分たったから 蒸発しちゃったんじゃない
渡辺:(台所に行く) まずいこれ 
佐藤:ここにある水でいい、水にしよう。沸かさないでいいよ

渡辺:すみません なんか
佐藤:ちょうど卒業設計出来た箇所で水入りと 水でいきましゅよう。で 修士は、なんでまた

渡辺
:大分前なので、これありますね。(本棚から写真帳を取り出す)
佐藤:卒業設計模型写真があると すごいね〜
渡辺:これなんですけども

佐藤:なんだかデコレーションケーキみたいだな
渡辺はははははは
佐藤:何カ所もあるけ どどれがどれだ、全部がそうなのね、
渡辺:全部がそうで、この崖みたいなものが、東尋坊の崖の所で

佐藤:神殿になっちゃっていると
渡辺:はい
佐藤:ここに ダリ居るじゃない
渡辺:ありますね〜はははは
佐藤:ダリ居ますね

渡辺:たぶんまだ沸々としてた亡霊みたいなものがあちこちに在るんで。だと思いますけど。
佐藤:腹へってきたのか俺にはケーキに見える
渡辺:あははははは

佐藤:この櫛みたいなものは何ですか
渡辺:これは、上の方にも上がれたりするですけど。それを上がっていく、階段がもつれ合っているような鉄骨ですねこれ。

佐藤:全体の構成が面白いね、こちらがキチンとしてて、こちらは有機的で、ダリがここに。君! 君 みたいな、人間ポイね 複雑で面白いね

渡辺:これは だから それを作り上げた時に模型を作り上げて何か、
佐藤:形が面白いけど 建築じゃないんじゃいか
渡辺:これで終わって、しまった事もあって、ただ何かそれまではこういうタイプのものを作っていた訳でもなかったので。何かその風景がどうのっていうこと思った事も含めて、ようやく

佐藤:この当たりに柱を斜めにした繰り返しの面白さも出て
渡辺:それもあると思います。そいうのが出てきて、まずこんときこれが勝手に出来てしまったので。
佐藤:シュークリームみたいなのは何なの
渡辺:とくに
佐藤:上の方が爆発しているよ

渡辺:そうなんですよ
佐藤:穴開いているよ、ここから光を入れるのかな
渡辺:光が入って、中身もあるのも。あるのかな、

佐藤:ああ中身もあるんだ
渡辺:中身もちゃんと在るんで

佐藤:ドームになっているんだ

渡辺:ドームになってて、要はその
佐藤:ドームに皮がついてるんだ
渡辺:皮が付いて中にドームで
佐藤:シュールな風景だね、ダリの影響だね

渡辺:たぶんそうですね、ここら辺がようやく東尋坊の高さぐらいで。
佐藤:すごい高さもデカイんだ

渡辺:それ50mぐらいですから
佐藤:これだと500mぐらいの高さがあると

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