照らすらむ神路の山の朝日かげあまつくもゐをのどかなれとは
かしまのやひはら杉原ときはなる君がさかえは神のまにまに
春日山峯のまつばら吹くかぜの雲井にたかきよろづよのこゑ
榊さすをしほの野邊の姫小松かはす千歳のすゑぞひさしき
かも山やいくらの人を瑞垣の久しき世よりあはれかくらむ
たのもしな暁ちかき月かげのかねてすむらむみよしののたけ
おもかげに思ふもさびしうづもれぬほかだに冬の雪の白やま
雲かかるなちの山陰いかならむみぞれはげしき長き夜のやみ
わかの浦の浪にこころはよすときくわれをばしるや住吉の松
やはらぐるひかりさやかに照し見よたのむ日よしの七の御社
嬉しさのなみだも更にとどまらず長きうき世の関をいづとて
いさぎよく磨く心しくもらねば玉しく四方の境をぞ見る
あきらけき朝日のかげにあたご山雪もこほりもきえぞ砕くる
冬枯れのおどろのふるえもえつきて吹きかふ風に花ぞちりしく
天つ風さはりし雲は吹きとぢつおとめのすがたはなににほひて
すみまさる池の心にあらはれてこがねの岸になみぞよせける
障りなくとほちをわたす橋なればおち破るてふたぐひだに見ず
おのがじしまもるすがたの身にそひて動かぬ道のかためとぞなる
はかりなき花の諸人なびききてまさるかざしのかひぞありける
大空の法のくもぢにすむ月の限りも知らぬ光をぞ見る