和歌と俳句

俊惠法師

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われながら 身をばうらみつ 君もまた うたたあるものと 心をば知れ

君かさば 夜床の衣 うらかへれ なれる姿や 夢にみゆると

恋ひしとも 憂しともおもふ わが涙 などや袂に 色のかはらぬ

わが心 目にこそ見えね 曇る日の 影と君には そへてしものを

夢にとて 見えぬものから まどろめば おもかげにさへ たち別れぬる

来むといひて 来ぬがつらさに くらぶれば 来しとて来ぬは うれしかりけり

花の色も 月のひかりも かはりけり ものおもふときの わが眺めには

はかなしと 夢をもいはじ 憂きは憂く 辛きは辛く 見えぬものかは

かぎりあれば 逢ふてふ名こそ をしからめ なけのことばは くやしからじを

おのづから 恋の玉江の ひまひまの うつし心は うらみなりけり

月影は ものおもふとしも なけれども 恋にはまつぞ 友となりける

衣手に つくらむすみを わびつつは あやむとだにも よそにきかばや

おもひそめ みそめざりけむ いにしへを 恋ふにさへこそ かなはざりけれ

色はありて などや涙の 心なき つつむとすれば いとど落ちそふ

あかつきぞ おもへば辛き 憂き人も 寝覚めよりこそ 恋ひしくはなれ

あかつきの 床に秋風 吹き来ずば 心にはまけぬ わが身ならまし

めづらしく 今宵ばかりや さよ衣 うらをうらにや うちかへすべき

逢ふことは 夢のみとこそ またれしが うつつまでとは おもはざりしを

いまさらに いとどいとはむ 鳥のねを 待ちてのみこそ 明かしかねつれ

あはれとも まつ見るばかり 今宵わが 枕のちりを しばし拂はじ