みわ川の 清き流れに いくし立て 夢に見むとや われはいのりし
死ぬばかり おもふとかねて 書きやりし 言の葉にさは われやおちなむ
新勅撰集・恋
しなばやと あだにもいはじ のちの世は おもかげだにも そはじとおもへば
さだめなき 露の命を もちがほに 逢ふにかへむと 待つがはかなさ
秋の野を いつかは夢に わけきつる などや寝覚めの 袖の露けき
新勅撰集・恋
わぎもこを かたまつ宵の 秋風は 荻のうはばを よきて吹かなん
憂しとても おもひもたえぬ ものゆゑに さのみつらさを 人にかたらじ
身にそへる 君がおもかげ 心あらば ゆきてもかたれ なれる姿を
千載集・恋
恋ひ死なむ 命をたれに 譲りおきて つれなき人の はてを見せまし
千載集・恋
君やあらぬ 我が身やあらぬ おぼつかな 頼めしことの みな変りぬる
身をつめば あはれとぞおもふ をかの辺に 霜枯れたてる つまなしの木は
続後撰集・恋
わが恋は 人知らぬまの うきぬなは 苦しやいとど みごもりにして
しのぶ草 かたみにつみて 過ぐせども しげき人目ぞ なほもりぬべき
夢にだに 逢はずなりぬる 寝覚めこそ また頼むべき 方もしられね
君来ずば 閨へも入らじ はらひつる とこのおもはむ こともはづかし
ひとりねの 床の秋風 身にしむや よそに聞きこし 恋にはあるらむ
こひ草は なべて刈るとも いなやいな しのぶは摘まじ 袖しをれけり
秋風の 身に寒き夜の ひとりねは ぬしさだまらぬ ものをこそおもへ
知るらめや 涙の床の あやむしろ をになるまでに しきしのぶとは
しばしこそ 憂し辛しとも いはれけれ はてはこひしさ ただひたすらに