和歌と俳句

千載和歌集

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權大納言実国
潮たるる伊勢をの海人や我ならんさらばみるめを刈るよしもがな

權大納言実家
よしさらば逢ふと見つるになぐさまむ覚むるうつつも夢ならぬかは

右衛門督頼実
いかばかり思ふと知りてつらからんあはれ涙の色を見せばや

俊恵法師
恋ひ死なん命をたれに譲りおきてつれなき人のはてを見せまし

前右京權大夫頼政
堰きかぬる涙の川の早き瀬は逢ふよりほかのしがらみぞなき

藤原顕方
我が恋は年経るかひもなかりけりうらやましきは宇治の橋守

道因法師
馴れてのち死なん別れの悲しきに命に替へぬ逢ふこともがな

賀茂重保
錦木の千束に限りなかりせばなほ懲りづまに立てましものを

前参議教長
いかばかり恋路は遠きものなれば年はゆけども逢ふよなからん

三の御子の家の越後
馴れてのちつらからましに比ぶればなき名はことの數ならぬかな

法性寺入道前太政大臣家三河
逢ひみむと思ひな寄りそ白浪の立ちけん名だにをしきみぎはを

道因法師
恋ひしなむ身はをしからず逢ふことに替へんほどまでと思ふばかりぞ

左京大夫顕輔
今はさは逢ひみむまではかたくとも命とならん言の葉もがな

平忠盛朝臣
ひとかたになびく藻鹽のけぶりかなつれなき人のかからましかば

藤原道経
恋ひわびぬ茅渟のますらをならなくに生田の川に身をや投げまし

寂超法師
命をば逢ふに替へんと思ひしを恋ひ死ぬとだに知らせてしがな

源師光
恋しともまたつらしとも思ひやる心いづれか先に立つらん

道因法師
逢ふならぬ恋なぐさめのあらばこそつれなしとても思ひ絶えなん

顕昭法師
つれなさにいまは思ひも絶えなましこの世ひとつの契りなりせば

源慶法師
うたたねの夢に逢ひみてのちよりは人も頼めぬ暮ぞ待たるる

朝恵法師
あはれとも枕ばかりや思ふらん涙絶えせぬ夜半のけしきを

二條院内侍三河
衣手に落つる涙の色なくは露とも人にいはましものを

殷富門院大輔
思ふこと忍ぶにいとど添ふものは數ならぬ身の歎きなりけり

摂政前右大臣兼実
行き帰る心に人のなるればや逢ひみぬ先に恋しかるらん

左衛門督家通
逢ふことをさりともとのみ思ふかな伏見の里の名を頼みつつ

二條院御製
などやかくさも暮れがたき大空ぞ我が待つことはありと知らずや