拾遺集・雑歌
わたつ海はあまの舟こそありときけのりたがへてもこぎいでたるかな
拾遺集・恋・小倉百人一首
歎きつつひとりぬる夜のあくるまはいかにひさしき物とかはしる
拾遺集・雑賀
心ざし深きみぎはにかるこもは千歳のさ月いつかわすれん
拾遺集・雑賀
疑はし他にわたせる文みれば我やとだえにならむとすらん
拾遺集・哀傷
たき木こる事は昨日につきにしをいさをののえはここにくたさん
後拾遺集・恋
きえ返り露もまだひぬ袖の上に今朝はしぐるる空もわりなし
後拾遺集・恋
春の野につくる思ひのあまたあればいづれを君がもゆるとかみん
後拾遺集・雑歌
いかがせむ山のはにだにとどまらで心の空にいづる月をば
後拾遺集・雑歌
曇る夜の月とわが身の行く末とおばつかなさはいづれまされり
後拾遺集・雑歌
なき人はおとづれもせで琴の緒をたちし月日ぞかへり来にける
後拾遺集・雑歌
かしは木の杜の下草くれごとに猶たのめとやもるをみるみる
後拾遺集・俳諧歌
思ひいづることもあらじとみえつれどやといふにこそ驚かれぬれ
金葉集・雑歌
降る雨のあしとも落つる涙かなこまかにものを思ひくだけば
詞花集・雑歌
たれかこの數はさだめし我はただとへとぞおもふ山吹のはな
詞花集・雑歌
ふる雨のあしともおつる涙かなこまかにものを思ひくだけば
新古今集・恋
絶えぬるか影だに見えば問ふべきを形見の水は水草ゐにけり
新古今集・恋
吹く風につけても問はむささがにの通ひし道は空に絶ゆとも
新勅撰集・雑歌
かくれぬに おひそめにける あやめぐさ ふかきしたねは しるひともなし
新勅撰集・雑歌
はちすばの たまとなるらんと おもふにも そでぬれまさる けさのつゆかな
続後撰集・釈経
となふなる 浪の数には あらずとも いかではちすの 露にかからむ