和歌と俳句

郁芳門院安芸 待賢門院安芸

金葉集・春
庭の花 もとのこずゑに 吹き返せ 散らすのみやは 心なるべき

詞花集・雑歌
人しれず もの思ふことも ありしかど 子のことばかり かなしきはなし

千載集・夏
さみだれは 海人の藻塩木 朽ちにけり 浦べにけぶり 絶えてほど経る

千載集・羈旅
笹の葉を 夕露ながら 折りしけば 玉散る旅の 草枕かな

千載集・恋
そなれぎの そなれそなれて むす苔の まほならずとも 逢ひみてしがな

千載集・恋
恋をのみ 姿の池に み草ゐて すまでやみなん 名こそをしけれ

千載集・夏
櫻あさの をふの下草 しげれただ あかで別れし 花の名なれば

新勅撰集・釈経
さはりなく いるひを見ても おもふかな これこそにしの かどでなりけれ

新勅撰集・恋
こえばやな あづまぢときく ひたちおびの かごとばかりの あふさかのせき

続後撰集・春
みなかみに 桜ちるらし よしの川 いはこす波の 花とみえつつ

続後撰集・恋
恋をのみ 須磨の浦に しほたれて 焼くとも袖を くたすころかな