和歌と俳句

新勅撰和歌集

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法成寺入道前摂政太政大臣道長
けさかふる なつのころもは としをへて たちしくらゐの いろぞことなる

返し 従一位倫子
まだしらぬ ころものいろを たちかへて きみがためにと みるぞかなしき

天暦中宮
つゆじもの よひあかつきに おくなればとこにやきにが ふすまなからん

東三條入道摂政太政大臣兼家
きみがすむ よがはのみづや まさるらん なみだのあめの やむ世なければ

大納言師氏女高光妻
それとみる おなじみかさの やまのゐの かげにもそでの ぬれまさるかな

一條左大臣雅信室
けさのまも みねばなみだも とどまらず きみがやまぢに さそふなるべし

右近大将道綱母
はちすばの たまとなるらんと おもふにも そでぬれまさる けさのつゆかな

中務
なきひとの ことのはうつす みづぐきは かきもやられず そでぞぬれける

大納言清蔭
いひつつも 世ははかなきを かたみには あはれといかで きみにみえまし

權大納言長家
はるたつと きくのもものの かなしきは ことしのこぞに なrばなりけり

返し 出羽弁
あたらしき としにそへても かはらねば こふるこころぞ かたみなりける

藤原高光
しもがれの よもぎのかどに さしこもり けふのひかげを みぬぞかなしき

内大臣実氏
こころこそ うきよのほかに いでぬとも みやこをたびと いつならふらん

返し 左近中将雅清
まよひこし ゆめぢのやみを いでぬれば みやこはよその すみぞめのそで

權中納言国信
きみこふと くさばのしもの よとともに おきてもねても ねこそなかるれ

權中納言国信
かぎりとて たきぎつきにし のべなれば あさぢふみわけ とはぬひぞなき

權中納言国信
あさゆふに なげきをすまに やくしほの からくけぶりに おくれにしかな

堀河院讃岐典侍
いにしへを こふるなみだに そむればや もみじもふかき いろまさるらん

九條右大臣師輔
ゆきかへり みればむかしの あとながら たのみしかげぞ とまらざりける

九條右大臣師輔
ゆめかとて あけてみたれば たまくしげ いまはみなしき 身にこそありけれ