1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 1999年 大島哲蔵さんと佐藤敏宏の私信交換 home 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12 01 02 03 04 05 0607 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 ●1999年4月07日 1:00 大島哲蔵様 先日は貴重な意見有り難うございました。芸術がもつ癒しの効果を福祉施設に活用せよとのこと。美術館のようであり年老いて行く人と作家や鑑賞者が共に出会う、場所があれば良い。コストはおさえてシンプルで親しみのある施設とする。いろいろ参考にして今日、ようやくプランや立面が出来上がり、模型の土台が出来ました。パソコンはプランニングにも大変便利で予定より早くまとまりました。 漢字のコンセプトは解りにくいとのこと、プランに隠し味のように相変わらず使いました。ほんわかした福祉施設とはならないようで、遊園地のようになつてしまいました。展望台は大変過激なので受け容れられそうにないのですが、高いところから自分が生活してる所や育つ所を時々眺めるのは大切なことのように思います。 子供の頃裏山から東京の方を眺めた記憶があってどんな小さな建物でも望楼を付けてしまいます。全体の印象は、BOX10に似てしまいました。姿は全然その様には見えないのですが、隣に野球場が控えているので、知らず知らず、影響を受けていたようです。自分の癖からは解放されそうもありませんが仕方のないところです。 一週間わき目もふらず考えていましたが、桜が咲いたり、雪が降ったりして。春になつてしまいました。福島は今週末桜の見頃の様ですが、久しぶりの建築計画に多いに楽しんでいるので桜にさえ興味が湧かないのでこまります。去年は福島に来ていただきBOX12を見てもらいましたが、今年はまた一件完成しそうです。早く年2件ぐらいにはなりたいものです。それよりコンペに入選して温泉旅行と威勢はいいのですが、母校のコンペの審査員なので選外でしょうが、小松の美術館より断然ダイナミックに出来そうです。 コンペに参加し自分の建築に対する考え方をまとめると、ますます世間からズレてしまうのが解り辛いこともあります。ものを作ることは何処かで後ろめた、これは現代人の証でしょうか。…ですから優しさも理解できる様な気がします。 明日からはサイトウ君と模型作りです。2〜3週間かかりそうです。まとまりましたら、小松の美術館のようにスライドを送ります。とりあえず先日のお礼といたします。佐藤敏宏 ● 1999年4月7日2:05 faxありがとうございました。最後までやりきって下さるようお願いします。自分らしく、しかも相手や時世を考慮に入れてやるべきです。単なる自己発現だけでも入賞できませんし、入っても自分らしくない、または力が発揮できない案では何にもなりません。ある意味では両立は難しいのですが、別の意味ではそんなに難しいことではありません。他者の存在を自分なりに考えればよいのですから、佐藤さんの得意分野です。ありきたりの自己主義者になるのではなく高いレベルの自分主義者になれば良いのですから楽しく意義の深い作業です。 私のところの前の公園の桜はもう散り始めています。今年はいつもの年より寒いので、人手も例年ほどではありません。不景気も結構関係しているようです。句は自筆でかくのですね。ここのところfax流れるとお金の催促かなと思ってビクビクしています。我ながら情けない状況です。こないだは若い娘を二人とアッシー君と4人で「苦楽園プロジェクト」をみて来ました。ガケ地を拓いて白い豪邸を建てているのですが、空疎で矛盾だらけの建築です。雑誌に連載している「明言露語」というコーナーの下書きをしましたので、送りますから御覧ください。 今週の金曜日は最初の講義がある日です。Herzog &Meuronを学生に解説しようと思います。世界の意識の息吹を伝えようと思います。苦労して話し○や内容を考えるよりも素直に自分の受けたimpressionを語れば良いと考えています。(コンペと同じです) 回りに就職が出来なくて困っている人が多く居るのですが、なかなか口をみつけてあげることができず、ふがいない思いがしますが、仕方ありません。できるだけのことをして上げるのみです。やりたいことをやっているからでしょうきっと。 福島の今年の桜を見れないのは残念ですがきっと今年も行くことができると信じて、明日からまた頑張りたいと思います。ワタナベさんもコンペをだいたい完成させたようです。 天井がパカット開くアイデアは採用されて昆虫の背中のように処理されているそうです。入るとよいのですが・・・。角館の仕事は結局うまく行かなかったようです。各方面から口だしが多く 市長のことも考え自ら降りたみたいです。この件に関してはなかなか思い切りが良いと思いました。 大島哲蔵 ●1999年4月19日 10:32 「福祉会館」のスケッチありがとうございました。また1ヶ月もあるとのこと健闘をいのります。老婆心ながらジュエリーや役人は建築そのものよりも「威圧感がない」とか「ロビーが良さそう」とか「テラスでリラックスできる 」とかそんなことを重点に見ますから、出来るだけの対策をとっておいて下さい。 最終的な段階でも「これを決定案にしても各方面から苦情が出ないかどうか」がラストチェックにとなります。 重要な違犯よりもそれが優先することはほぼ間違いありません。相手に合わせるようなことはしたくないかもしれませんが「入ってしまえばこちらのもの」です。普通はgentlijicationするわけですが、過激化すれば良いわけです。 もし一等が決まっているとしたら、どんなこともしても入れるので落選覚悟で自分のしたいことをやった方が楽しいですが、今は一縷の望みに賭けて1等を狙う方が正解ではないでしょうか。 草々 大島哲蔵 ●1999年4月23日 9:42 大島哲蔵さま コンペについていろいろご意見有り難うございます。頭が熱くなつているので、大変効きます。コンペは5月31日〜6月4日まで公民館で展示され、11日に公開審査と決まりました。参加するのには申し分のない条件です。張り切って模型を作っているところです。 模型は防風壁と車寄せも出来、ほぼ建物は今日完成しそうです。照明器具を付け夜景も撮影するつもりです。毎日作っていると良いのやら悪いのやら解らなくなつてしまうので途中写真を撮り気分転換しました。写真を送ります。器用にいろいろ方法を考えれないので、いつものスタイルでやるほかありません。コンペがあることだけでも感謝していたのに、公開で競えるは大変幸せです。 模型が完成したら、写真送りますので、ご意見をお願いします。プレゼンのセンスに全てがかかつているようです。いろいろ考えて最全を尽くします。 ワタナベさんから電話があつたので、コンペの話はしました。青森の案は吊りかまくらの雪下建築を。と以前電話で言いましたが、すっかり自慢していました。幸せな方です。互いに当選して豊和塾に春爛漫といきたいものです。 又連絡します 1999年5月へ |