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     1999年 大島哲蔵さんと佐藤敏宏の私信交換      home 

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1999年6月3日 3:05

大島哲蔵さま
一昨日コンペンの展示会に行き、ついでに白河の大黒屋で温泉に浸かって来ました。甲子温泉はまだ新緑が美しく、川面に大きなヤマメの姿が見えさすが阿武隈川の源流です。

コンペ応募作品数は47で、最終日に半数がドット届いたと福祉課の課長(審査員の一人)が話してました。一番最初に提出したので顔と名前も記憶しているようでした。会場のレイアウトと飾り付けがあまりにもお粗末なので、課長さんに苦言をいつていたら、気の毒になつてしまい、47の倍 94枚すべてを飾り付けをやり直してしまいうことになりました。3時間ほど掛かりましたが、ファンクラブの人たちが多いに力になつてくれまた、課長さんの雰囲気を和ませてくれました。私が課長さんに指示をとばしたり、足りない用具を持つてこさせたりと、すっかり役場の臨時福祉部長になつていました。

 見学に来ている学生をどんどん使ってしまうので、課長さん驚く、最後はすつか見やすくなってまた感心、そのうえ感謝されてしまいました。おかげで温泉場に着いたのは夕方でした。

レイアウトを直しながらすべて見ました。予想していたように平屋(和風や分棟のリカチャンハウス風など)と、書き込み過ぎ、と派手にやりすぎの作品が多く、建築家の下品さにすっかり気分が悪くなりました。ですから私のもが学生作品のようにシンプルに見えるのが印象的でした。書き込みと余分な説明がなく余計な色使いがないのでそう感ずるのだなの思いました。大島さんのアドバイスが完全に効いていまして、なるほどと思い今後のコンペに対する姿勢を学びました。選ばれるかは別ですが解り安く表現することは大切ですね。

 プランも私のような単純にして、変更可能なものがほとんどありませんでした。第一解りにくいのです。私が理解しようとしても骨が折れて、途中で見るのがイヤになり断念してしまいます。色使いと書き込み過ぎなのです。やくざの入れ墨のようで、目をそらしてしまいます。審査員は大変だなあーと思いました。

課長さんは、コンペをやったこともないし、建築の製図に関する知識がないのであんな風に展示してしまつたのです。それにしての建設課の人たちは冷たいんですね。これが役所仕事とゆうやつかと知りました。住民参加も必要ですが、「おまえらみなで話し合い協力しろよと」いいたいですよ。やはり日本は基本的なところがいかれていますね。

展示替えを済ませ、課長さんに作品の説明をしたり、計画して疑問に感じたことを質問したりして、一日臨時福祉部長の仕事から解放されました。やはり仕事が終わったら、屋上に上がり町を眺めるのが良いですよと、屋上展望台の宣伝をしておきました。屋上に要介護老人をEVで上げ町を見せようなんて案を考えるのは私だけでした。かれらは老人を人の感情を持つ人と考えていないようで、処理するや世話する、ものなのです。私は人として感情を維持することを補佐し、老人が明るい人に成ることが、私たちの明るさも維持できることに気づくべきなのです。介護交際のうたを歌いましょう。

宝塚のもは私は水鳥とかごでしたがタカマツ案はかごとキュウブでしたね
    佐藤敏宏 


99年6月4日 0:03

佐藤敏宏様
コンペ展示のお話興味深く拝見しました。飾り付けまで采配をふるわれた由、貴殿らしくて私まで楽しくなりました。

子供や老人は人間的に扱われる必要があります。もち論私たち中年もそうですが、今のところ望み薄なので、せめて老人ぐらいはという意味です。役所の体質は都会も田舎も変わりませんが、お話を聞いているのと、ある面では地方の方がまだましかも知れません。と言うもの都市では役人以外の人間が応募案に手を触れることさえ許されないからです。コンペに対する自覚が欠如しているからでもありますが、都会では「自覚」がどんどんねじ曲がって行くのです。

案がよいのも点数が高いですが、それよりも決定的に重要なのは設計者の人間性や見識です。多分私ならそちらの方を重視するに違いありません。そしてうまく発注先が分散するようにするでしょう。これが本当の平等主義なのですが、今の役所のシステムは封建制よりなお悪質な悪代官制とでも言うやりかたです。

シンプルでフレキシブルな案は私もよいと思います。複合体は本当に明晰ならかまわないのですが、そんなアプローチはまずありません。混乱と過剰に終わるのがほとんどではないでしょうか。 今度の審査は事前に決まっている案があるのかそれともジュリーが自主規制するのか、いづれにしても見ものだと思います。配置や導線、テリトリーのお相関関係は一応言い方次第で「ここにこれがくるのはマズイ」などととりあえず言えるのですが、たいした問題ではなく変更も出来るのですから、やはり建築として自身を主張できるかどうかだと思います。意思をもった建築であるかどうかが問われます。「主張のない案」もたまには良いでしょうが、現状でいくらもあるのですからコンペで選ぶことなどないわけです。

入るかどうかわ分かりませんが、明確な性格をもった案を作られたことに拍手します。その真実が皆に伝わるまで、その作案を続行するのが正しい方針だろうと思います。醜いナルシズムや抑制できない助平心そして金権的な体質などが透けて見える案が多いですね。まともな人間が建築家にいかに少ないかがよく分かります。きっとそういう人は本当は小心で上昇志向がつよく、見地に欠けた可哀相な人達だと思います。入賞という意味ではなく、まともな審査が遂行されるよう注目しております。では又 大島哲蔵


1999年6月14日  2:34

大島哲造様
 今年は梅雨になつても良く晴れた日が続き去年失った夏を取り戻しているようです。
その後いかがお過ごしですか。こちらはコンペの公開審査もなく、正式な知らせがまだありませんが、賞にもはいらなかつたようです。いろいろアドバイスを受けたのに申し訳なくおもいます。

1位は粗悪な公共建築をにふりまいている事務所のようです。コンペを裏で操作するのが得意なところと記憶しています。残念ですがその様なことがあり得るだろうと思っていました。直接関係はありませんがBOX11のお父さん(村会議員)から審査員についての不審を何度も聞かされていたので 「そうか」と納得してしまいました。

わたしにとつての良い建築を目指すことは、とても困難を伴うことなのですが、そんなことがあってっも若いときのように腹が立たないのが不思議です。それよりコンペを開催した方々の努力に敬意を表したいほどです。何度でもこのような体験をせねば自分たちで判断できる社会が出来上がることがないでしょう。

とにかく悪いこと良いことにおいて私の総合力不足ですから、これからの人生を使い切り力を身につけたいと考えております、相変わらずのアドバイスよろしく願います。

エイハブや 大物狙いて 梅雨忘れ

高校のプロポーザルコンペの下調べはほぼすみましたが。審査員長が関係した作品が雑誌の6月号にコメントともに掲載されていました。エコスクールの趣旨を文部省とともに作成した委員でもあり、地方の学校を日建と組んで建てたりしているのでしょう。 BOX8のある町で現在工事中です。皆なかなかうまいことをやつているものです。やはり裏がわかってしまうとやる気が失せますが、参加します。

教育とは未来を語ることだそうですが、学校を家庭のような環境にすることが彼の願いだそうです。妻子とうまくやれない中年男が学校を家庭的にしようなんざ、とても軟弱な考え方で気分が悪くなります。 社会の危険や困難を隠蔽せず、知り、どう対処するかを教えることができなくなったのでしょうか。ありもしない家庭環境をでっち上げて子を守ってどうするんでしょうか。自分が死んでも子供を助けられるとでも考えているようです。

消費社会は一人十色以上の欲望を開発し続けるのですから、従来の家庭像など何の役にも立たないのに、おじさんたちは無くしてしまつた家庭をさもあるかのように思いたい気の毒な人。愛情を理解しない人たちではなでしょうか。基礎教育さえすれば考えることは若い人たちが自ら手に入れるものです。

 基礎教育の時間を減らしてしまい満足に母国語を使いきることができない人が、ものを考えることが出来るのでしょうか。 とまあまた変な案を考えそうです。

梅雨忘る 呑気な天ya 鳩が飛ぶ  佐藤敏宏 


99年6月14日 9:02

佐藤敏宏様
コンペの件は残念でしたが、気落ちしている暇などありません。次の課題で復習することにしましょう。報われない課題がほとんどでしょうが、あまり報われたいと思わないので、自分たちの考えを表示することだけに心がけましょう。

「公開審査」はアナウンスされたのに、実行されなかったのでしょうか。それは重大な約束違反のようにも思いますが・・。もしそうなら私だったら抗議し無視するのだったら直接押しかけて行くと思います。

佐藤的才能は埋もれたままにするのはしのびない、よい知性だと考えます。宮沢賢治や太宰治に匹敵する人材で、もちろんワタナベトヨカズに軽く拮抗できる内容です。基本的には民間が怠慢なのですが。それだけ東北も地盤沈下が激しいということなのでしょう。私は関西の低級批評家として絶対なる支持をして、いつかそのpresenceを世にしらしめるのが使命ではないかとおもっています。 

エコスクールとは気持ちの悪いネーミングですね。すぐ「エセ」であることが伝わって来ます。本当は反エコキャンパスを設計すべきですが、偽装を進めて、エコ反エコの区別がつなない代物を仕立て上げる必要がありそうです。例えばストーリィのあるエコを作るとかどうでしょうか。つまりエコやファンクションは反物語的になりがちですからね。下コエ(下肥)の昔懐かしい自然農法てきな下部暮れの校舎をつくってやるとズーズー弁で歓びの声を上げるかも知れません。 草々 大島哲蔵


●1999年6月23日 2:45 

大島哲蔵様 
梅雨が行ったり来たり、暑い日涼しい日が交互にやって来て体調を崩しやすくなる季節です。コンペの結果がまだ正式に連絡がありませんので、文句も言えません。いかがお過ごしですか。

 こちらはBOX13の仕上げと設備の器具付けがほぼ終わり、電気や水道、ガス、が接続されれば、役所の検査を受けるだけです。その後外部の舗装などが済むと7月8日で完成です。7月10日には朝から竣工パーティがあります。良かったら遊びに来て下さい。寝るところはBOX13がありますし、食べる物もその日ならたくさんあります。11日でも良いですが、12日から2,3日は引っ越しですから、話している時間は余りありません。哀しいことに仕事が無いので下男のようなことになりそうですが、全くの普通の人が発注者ですから完成した家が余り乱れないように、スタートさせないと評判だけが悪くなつてはかないませんから、下男も良しとします。

 施主さん妹さんはとても不動産好きで、その周辺関係についてはかなり自信があるようなのですが、私の出現ですつかり出番を無くしてだいぶ恨みを買っているようなので、何を言われるかおおよその予測がついています。こちらは専門家ですから売られケンカは買いますし、二度と私の顔を見るのもイヤになるくらいプライドを傷つけてやることにしています。そうすれば私は一生忘れられない人間になることができるからです。

 ですから竣工パーティの宴会の料理から席順まで「何でも屋」になつてバシバシ決めています。出番を全部うばつてしまってます。怒りは相手に力を与えるはづです。
 あおりをくったのはBOX13の現場監督です。施主さんへ訪ねて行き、「設計屋さんの言っていることが理解できないんです。」とのことですから私はますます、下請けの人たちの気合いを入れ、あっという間に手配しどんどん工事を進めていたら 時が過ぎていました。

サイトウ君が最終模型を 作るために今日現地調査をしてきて、「過激な外観ですね 」と言っていました。「外部を守っているのやら、内部を守っているのやら」とのことです。 写真は車庫ができてから撮りますので今しばらくお待ち下さい。

今年も又夜間高校の先生から講演を頼まれましたので、7月の2日と9日に介護交際のうたとエコ高校の話をする予定です。これが今年のしばらくぶりの現金収入ていうことになります。今年はサクランボが買えそうにありません。

サクランボ 講演料の 蒼き文字         佐藤敏宏 


● 99年6月23日9:36
佐藤敏宏様

久しぶりのFAXありがとうございました。BOX13の竣工おめでとうございます。設計家の晴れの舞台の一つですね。今度の仕事を評価する人の中から新作が生まれれば良いのですが。

遠くらか見ていても、妹さんの出番はなさそうですね。東北でも一二を争う人がでてきたのでは引き下がる以外ありません。私の方も講演や非常出演(ケチ入)が相次ぎあわただしい日々を過ごしていましたが、やっと一段落して、夏はすこしのんびりできるかな、といったところです。

最近はどこでも話しても超満員で、ファンレターも舞い込み良い気分にひたっています。調子にのって学会にケチ入れしたら「人が発表してる時にみだりに入ってこられては困ります」といわれ。一言謝罪しましたが、次の発表者がくだらなかったので、また途中で抜けてしまいました。その間、質問をあびせて「そこまで考慮していなかったので再び勉強し直します」との答えが引き出したので、司会の先生たちも口惜しそうでした。

また被災地の総会に出ていたら、反対派の不動産会社の親分から「地区以外のプロが入り込んでいる」と名指しで非難されたので、さんざんやりこめヤジリマクって強引な議事運営を引き出して、皆で途中退場をしました。これもなかなか絵になる出来事でしたが、そんな漫画のようなことを連日やっていたので、ギックリ腰になってしまい、これも天罰かなと思っています。

知らないうちに市民社会の一般人から後ろ指を指されたり、尊敬されたりする位置に就いていたわけですが、これはすべて結果ですから仕方ありません。乱世になると、こうした痛快な人種がどこにでも現れるのでしょう。7月10日はまだ分かりませんが。事情が許せば行きたいような気分で居ます。その頃身体的、金銭的に上げ潮なら行くつもりですが・・・・・。いずれにしてもホスト及び下男として活躍されることを期待しております。大島哲蔵。


● 99年6月26日 23:45

佐藤敏宏様
7月10日の学校行事があり、行けなくなりました。そのうち行きますから、また改めて案内ください。盛会を祈っています。学生や若い人からの賞金稼ぎコンペの相談が増えいろいろアイデアを授けています。大方7案ぐらいのぼります(一部ダブル)のでどれか入るでしょう。そうしたら1割もらう約束になっているので、夏の終わりごろに行ける公算も大になります。梅雨の後半に入って、連日雨が降り続いています。これで秋のかっ水はなくなるでしょうが、その後の暑さが予想され、体力の落ちた昨今、思いやられます。
大島哲蔵

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