大宝元年辛丑秋九月 太上天皇幸于紀伊国幸時歌
大宝元年九月に、太上天皇、紀伊の国に幸す時の歌
巨勢山乃列〃椿都良〃〃尓見乍思奈 許湍乃春野乎
右一首 坂門人足
巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を
朝毛吉木人乏母亦打山行来跡見良武樹人友師母
右一首 調首淡海
あさもよし紀伊人羨しも真土山行き来と見らみ紀伊人羨しも
或本歌
河上乃列〃椿都良〃〃尓雖見安可受巨勢能春野者
右一首 春日蔵首老
川の上のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は