和歌と俳句

春の田

鶺鴒の春田のくろを光りけり 鬼城

月出でて一枚の春田輝けり 普羅

鉄橋の下そこばくの春田かな 茅舎

夕づけば明るさ斑の春田かな みどり女

春の田に埃掃き出す坊主かな 普羅

みちのくの伊達の都の春田かな 風生

白馬の裾みの春田人を見ず 辰之助

東京の中の葛西の春田かな 万太郎

子牛蹤きゆく春田の牛の鞭うたれ 楸邨

隠岐の島段々春田海に落つ 楸邨

葛城の神の鏡の春田かな たかし

春田深々刺して農夫を待てる鍬 三鬼

春田なれ畦一尺に川へだて 林火

女出てうち眺めゐる春田かな 汀女

機音と春田を積みて与謝峠 林火