和歌と俳句

阿部みどり女

あやまちて酒のしぶきや汐干舟

橋の上に顔覗かれぬ汐干舟

椎の葉のざわめき合ひぬ春の雪

夕づけば明るさ斑の春田かな

塵捨てに出てそれなりや梅の木戸

茶摘女の籠おどらせて追ひ寄りし

伏せ籠の雛にかゞみぬ花吹雪

苗床や風に解けたる頬かむり

潦花圃をめぐりぬ春の雨

しまふことおつくうに過しけり

活くるうしろに人のいつか坐す

雨にはしる人はやし居り花の窓

手伝ひの勝手わからず春の風邪

東風の岸下駄をつないで持つ子かな

父が墓百里へだつる椿かな

つくばひに蕗の薹のせて忘れけり

屋根替の埃の中に立話

屋根替へて煤け障子に住ひけり

花疲れ一つ床几に女同志

歩み来て辛夷の下に話しけり

両側のつゝじ見て入る館かな