歌かるたよみつぎてゆく読み減らしゆく
敵のかるた一つの歌がわが眼索く
羽子の音つよし竹のさわげる風の中
つまづきし如く忘れし手毬歌
息かくる一と羽一と羽と羽子蘇きる
突き了へて羽子を天より掌に享くる
暮れてゆくひとつの独楽を打ちにうつ
オリオンの盾新しき年に入る
白羽子に息かけ童女斜視になる
独楽舐るいま地に鞭うちゐしを
独楽舐る鉄輪の匂ひわれも知る
枕辺に揚げざる凧と突かざる羽子
われとあり天を知らざるわが凧よ
凧・独楽・羽子寄りあふわれと遊ばずば
独楽とあそぶ壁に大きな影おいて
独楽あそび手窪のごとき地を愛し
頭をふつておのれ止らぬ勢ひ独楽
何の躊躇独楽に紐まき投げんとして
掌にまはる独楽の喜悦が身に伝ふ
掌に立ちて独楽の鉄芯吾をくすぐる
寝正月夢湧きつげば誰より贅
寝正月鶲を欲れば鶲来る
わが起居に眼をみはるもの奴凧
りんりんたる白破魔矢に鏃なし
白破魔矢武に苦しみし神達よ
羽のみだれ正す破魔矢に息かけて
わが寝屋の闇の一角白破魔矢
養身のほとりにつよく破魔矢おく
日向ゐて影がまつくら手毬つく
羽子つよくはじきし音よ薄羽子板