花会式かへりは国栖に宿らんか
やまの娘に見られし二日灸かな
石楠花に馬酔木の蜂のつく日かな
やま人と蜂戦へるけなげかな
虎杖に蜘蛛の網に日の静かなる
杉の葉をふすべて廚に 蕨あり
山国の暗すさまじや猫の恋
春の夜をうつけしものに火消壺
風呂の戸にせまりて谷の朧かな
花影婆娑と踏むべくありぬ岨の月
高 々と蝶こゆる谷の深さかな
杣が戸の日に影明き木の芽かな
杣が蒔きし種な損ねそ月の風
涙目に見ありく背戸や蕗の薹
或夜月にげんげん見たる山田かな
或時の燕ひまなし淵の面
春雨や山里ながら広き道
春雷や杵築の人の気のたかき
浜風になぐれて高き蝶 々かな
浜草に踏めば踏まるる雀の子
春風や吹かれこぼるる巌の砂
春風に捨ててもどらん魚の腸
行春の浦に烏のこだまかな
盤石をぬく灯台や夏近し
蛙ともならまし悔や草朧