和歌と俳句

万歳

萬歳の夜歩行此やもらひ溜  来山

万歳や左右にひらいて松の陰 去来

萬歳にあはれや老の拍子ぬけ 土芳

万歳のロや真砂は尽るとも 千代女

万歳やもどりは老のはづかしく

萬歳の踏かためてや京の土 蕪村

きのふ見し萬歳に逢ふや嵯峨の町 蕪村

大声や廿日過ての御萬歳 一茶

万歳や黒き手を出し足を出し 子規

無雑作に万歳楽の鼓哉 子規

上京や万歳はいる寺の門 碧梧桐

萬歳の三河の国へ帰省かな 風生

萬歳に撓める藪や夕渡舟 蛇笏

萬歳の鼓森一つ隔てたり 亜浪

万歳の吹かれ来にけり天津風 喜舟

萬歳の戸口を明けて這入りけり 石鼎

万歳や佐渡より金の湧き貌に 喜舟

万歳や雀驚く鶴の丸 喜舟

萬歳の笑みをつくりて舞ひそめぬ 石鼎

紺絣着て若才蔵たくみなる 石鼎

臥てきけばさびしきものよお万歳 鷹女

万才の佇み見るは紙芝居 虚子

枯芝に萬歳楽は尾をひけり 多佳子

萬歳や年のはじめの夕まぐれ 万太郎