白粥の茶碗くまなし初日影 丈草
梅が香の筋に立よる初日哉 支考
一年を高でくくつて初夜明 曾良
松に添ふ梅とや老の初あした 土芳
はや水の田毎に出来て初日影 千代女
竹も起て音吹かはす初日哉 千代女
鶴のあそび雲井にかなふ初日哉 千代女
我と人と深山ごゝろや初日影 暁台
我と世をのがれん身にも初日影 白雄
土蔵から筋違にさすはつ日哉 一茶
初日さす硯の海に波もなし 子規
空近くあまりまばゆき初日哉 子規
稍遅し山を背にして初日影 漱石
駆け上る松の小山や初日の出 漱石
色々の雲の中より初日出 漱石
初日の出しだいに見ゆる雲静か 漱石
初日さす朱雀通りの静さよ 碧梧桐
大涛にをどり現れ初日の出 虚子
晶子
初日かげ わがこの君を 誰にやらむ 北なる帝に 恋は足らずよ
慈姑田のうすらひとくる初日かな 鬼城
簷に干す醪の櫂に初日かな 泊雲
赤彦
見ゆる限り山の連りの雪白し初日の光さしそめにけり
晶子
初日影弓ひく人の姿する二尺の梅にものを云ひ懸く
一切空赤く出でたる初日かな 喜舟
晶子
初春の日の生れくる薔薇色の雲あり山の低きところに
松上にしばし曇りし初日かな 石鼎
初日の出小田の塊磊々と 泊雲