スツポンも時や作らん春の月
一莚蝶もほされておりにけり
花ちるやとある小陰も開帳仏
鼻紙を敷て居れば 菫哉
這へ笑へ二つになるぞけさからは
梅咲やせうじに猫の影法師
陽炎や歩行ながらの御法談
目出度さもちう位也おらが春
名代のわか水浴る烏かな
土蔵から筋違にさすはつ日哉
山の月花ぬす人をてらし給ふ
長閑さや浅間のけぶり昼の月
畠打や子が這ひ歩くつくし原
鍋の尻ほし並たる雪解哉
石畳つぎ目つぎ目や草青む
古郷や朝茶なる子も春がすみ
おれとして白眼くらする蛙哉
門前や子どもの作る雪げ川
かすむ日やしんかんとして大座敷
山畠やこやしのたしにちる櫻
小うるさい花が咲とて寝釈迦哉
入口のあいそになびく柳かな
雀の子そこのけそこのけ御馬が通る