和歌と俳句

腰をふる門の柳やかぶきもの 季吟

あち東風や面々さばき柳髪 芭蕉

餅雪をしら糸となす柳哉 芭蕉

うぐひすを魂にねむるか嬌柳 芭蕉

はれ物にさはる柳のしなへ哉 芭蕉

傘に押わけみたる柳かな 芭蕉

八九間空で雨ふる柳哉 芭蕉

五六本よりてしだるる柳かな 去来

ほんのりと日のあたりたる柳哉 野坡

何事もなしと過行柳哉 越人

西風に東近江の柳かな 許六

新寺の砂にしだるる柳哉 許六

青柳や雲にながるゝあらし山 涼菟

流るゝか雲に柳のあらし山 涼菟

さそふ水あらばとぬるる柳かな 千代女

青柳や終に燕にあふむかす 千代女

浮島を青う突出す柳かな 千代女

武者絵にはあしらひにくき柳哉 也有

枝はいと糸は枝なるやなぎ哉 也有

一筋もすたる枝なき柳かな 蕪村

横に降る雨なき京の柳かな 蕪村

捨やらで柳さしけり雨のひま 蕪村

青柳や芹生の里のせりの中 蕪村

風吹ぬ夜はもの凄き柳かな 蕪村

不二颪十三州のやなぎかな 蕪村

出る杭をうたうとしたりや柳かな 蕪村

花のみかもの云はぬ雨の柳哉 蕪村

梅ちりてさびしく成しやなぎ哉 蕪村

若草に根を忘れたる柳かな 蕪村

五条まで舟は登りて柳かな 召波

二日見ぬ程や柳のおもかはり 暁台

青柳に山路のこゝろはなれたり 暁台

引寄て折手をぬける柳かな 太祇

閑かさを覗く雨夜の柳かな 太祇

若柳枝空ざまにみどりかな 几董

水の気の取付初るやなぎ哉 青蘿

振向ばはや美女過る柳哉 一茶

看板の団子淋しき柳哉 一茶

行燈のおつかぶさりし柳哉

青柳や二軒もやひの茶呑橋

柳からももんぐわとて出る子哉 一茶

入口のあいそになびく柳>かな 一茶

曙覧
露をだにゆりはこぼさぬ春かぜを小枝にもちてなびく青柳