和歌と俳句

花御堂

蚊屋つりの草もさげてや花御堂 千代女

つばくらもみづからでなし花御堂 千代女

蝶々も来て乳を吸ふや花御堂 也有

花御堂月も上らせ給ひけり 一茶

つつじ多き田舎の寺や花御堂 子規

山寺や人も詣らぬ花御堂 虚子

茂吉
み佛の御堂に垂るる藤なみの花のむらさき未だともしも

堂しづくいちいち見えて花御堂 蛇笏

かしこみて尼僧あはれや花御堂 蛇笏

なつかしく子につきめぐる花御堂 夜半

大空の下にあるき来て花御堂 禅寺洞

うかがひて杓さし入れる花御堂 たかし

葺きまつる芽杉かんばし花御堂 久女

ある寺の障子ほそめに花御堂 素十

僧とゐてまのあたりなり花御堂 素十

傘さして花の御堂の軒やどり 素十

花御堂花重なりて匂ひけり 

花御堂もろびと散りて暮れ給ふ 草城

本堂に誰も居らざる花御堂 悌二郎

西山の寺といふ寺花御堂 青畝

寺町に尼寺一つ花御堂 たかし

尼寺の畳の上の花御堂 たかし