金葉集 藤原隆資
山里の外面の小田の苗代に岩間の水をせかぬ日ぞなき
公実
苗代に ほそくまかする 水なれば しめのほかには もらさざらなむ
俊成
わびぬともひきはありかじ山水のあるにまかせむ小田の苗代
俊成
櫻さく麓の小田の苗代はたねよりさきに花ぞ散りける
西行
苗代の水を霞はたなびきて打樋のうへに掛くるなりけり
西行
引き引きに苗代水を分けやらで豊かに流す末を通さむ
定家
かたがたにまかする小田の苗代の水にさかるる春のやま道
定家
来なれたる駒にまかせむ苗代の水にやまぢはひきかへてけり
俊成
花の散る山川堰ける苗代にしづが心も満つべかりけり
俊成
うらやまし苗代水を堰くしづも心のほどはまかせこそすれ
新古今集 勝命法師
雨ふれば小田のますらをいとまあれや苗代水を空にまかせて
水澄で籾の芽青し苗代田 支考
苗しろを見て居る森の烏かな 支考
櫻ちる苗代水や星月夜 蕪村
宵月や苗代水の細き音 召波
松遠し苗代水に日の当る 召波
苗代や日あらで又も通る路 太祇