和歌と俳句

壬生念仏 壬生狂言

長き日を云はでくるゝや壬生念仏 蕪村

山吹やいはでめでたき壬生ねぶつ 召波

誰布施の昔小袖や壬生念仏

墨染のうしろすがたや壬生念仏 太祇

狂言は南無ともいはず壬生念仏 太祇

出る月や壬生狂言の指の先 一茶

物売りの翁の髷や壬生念仏 虚子

晶子
壬生の寺狂言はやす後世人のなかに君見ぬあけぼの染を

仏法を踊つて見せつ壬生念仏 虚子

舞台暫し空しくありぬ壬生念仏 虚子

うららかに妻のあくびや壬生念仏 草城

曇り来て舞台古さや壬生念仏 播水

境内につゞく面店壬生念仏 泊雲

すぐ乾くあくび泪や壬生念仏 青畝

目つむれば鉦と鼓のみや壬生念仏 多佳子

壬生念仏身振りの手足語りづめ 多佳子

炮烙割れし微塵の微塵壬生念仏 多佳子

春の日を壬生念仏が索きとどむ 多佳子

天に蝶壬生念仏の褪せ衣 多佳子