和歌と俳句

橋本多佳子

壬生念仏身振りの手足語りづめ

炮烙割れし微塵の微塵壬生念仏

春の日を壬生念仏が索きとどむ

天に蝶壬生念仏の褪せ衣

火がついて修二会松明たちまち惨

火の修二会闇に女人を結界して

刻みじかし走りて駆けて修二会僧

西天に赫きオリオン修二会後夜

落椿くもる地上の今日の紅

散りづめの桜盲眼もつて生く

生きてゆく時の切れ目よ垂りて

静臥の上巣つくり雀しやべりづめ

おとろへて生あざやかや桜八重

土に憩ひ眼にほろがれる野焼黒

土筆の頭遠くに人も円光負ふ

桜吹雪ござ一枚の上に踊る

いくらでもあるよひとりのわらび採り

風吹いて帰路の白道わらび採り

誕生仏立つ一本の黒き杭

熱灰の焼野日輪直射して

わが頭上無視しての房盗む

盗む樹上少女の細脛よ

花会式造花いのちありて褪せ

手をつけば土筆ぞくぞく大地面

桜寒む生死の境くつきりと