和歌と俳句

東大寺

水とりや氷の僧の沓の音 芭蕉

初雪やいつ大仏の柱立 芭蕉

蟲干や甥の僧訪ふ東大寺 蕪村

群れ上る人や日永の二月堂 子規

行く秋や一千年の仏だち 子規

涼しさや奈良の大仏腹の中 漱石

名月や杉に更けたる東大寺 漱石

晶子
御相いとどしたしみやすきなつかしき若葉木立の中の蘆舍那仏

晶子
讃ぜむにおん名は知らず大男花に吹かれておはす東大寺

晶子
夕風や煤のやうなる生もののかはほり飛べる東大寺かな

晶子
東大寺普請の足場とるを見て地軸ばらばら崩すここちす

晶子
東大寺二王の門を静かなるうす墨色にぬらす秋雨

八一
おほらかにもろ手のゆびをひらかせておほきほとけはあまたらしたり

八一
あまたたびこのひろまへにめぐりきてたちたるわれぞ知るやみほとけ

八一
毘樓博叉まゆねよせたるまなざしをまなこにみつつあきの野をゆく

八一
おほてらのほとけのかぎり灯ともしてよるのみゆきを待つぞゆゆしき

八一
おほてらのにはの幡鉾さよふけてぬひのほとけに露ぞおきにける

八一
おとなへば僧たちいでておぼろげにわれをむかふるいしだたみかな

青畝
春寒し水取のあと二日ほど

爽雨
水取や磴につきたる火屑みち