和歌と俳句

法華寺

子規
尼寺や寂莫として秋の行く

晶子
法華寺の 黒き千手の おん像の 御手勧進す 奈良の大路に

晶子
ほととぎす 白の袷の 裾ならべ 五人います 法華寺の衆

八一
ふぢはらの おほききさきを うつしみに あひみるごとく あかきくちびる

八一
からふろの 湯げたちまよふ ゆかのうへに うみにあきたる あかきくちびる

八一
からふろの ゆげのおぼろに ししむらを ひとにすはせし ほとけあやしも

秋櫻子
来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり

尾崎迷堂
稲雀法華寺御殿覆ひ飛べり

秋櫻子
拝みしをまぼろしかとも秋の暮

秋櫻子
映ゆる厨子より黒き御像

秋櫻子
真白毛の猫かがやけり萩の風