和歌と俳句

片岡

奈良県北葛城郡大寺町

万葉集・巻七
片岡のこの向つ峰に椎蒔かば今年の夏の蔭にならむか

新古今集 藤原仲實
春来ては花とも見よと片岡の松のうは葉にあわ雪ぞ降る

新古今集 紫式部
郭公こゑ待つほどは片岡の森のしづくに立ちや濡れまし

千載集 基俊
春雨の降りそめしより片岡の裾野の原ぞあさみどりなる

千載集 経信
朝戸あけて見るぞさびしき片岡の楢の広葉に降れる白雪

千載集・神祇 賀茂政平
さりともと頼みぞかくるゆふだすき我が片岡の神と思へば

良経
下草は秋にもたへず片岡のつれなき松に時雨もるころ

良経
つまきをる便りにみれば片岡の松の絶え間にかすむふるさと

実朝
わかなつむころもでぬれてかたをかのあしたのはらにあはゆきぞふる