和歌と俳句

岩瀬の森

奈良県生駒郡斑鳩町竜田にある森

鏡王女
神なびの石瀬の社の呼子鳥いたくな鳴きそ我が恋まさる

志貴皇子
神なびの石瀬の社のほととぎす毛無の岡にいつか来鳴かむ

新勅撰集・夏 田原天皇御製
かみなびの いはせのもりの ほととぎす ならしのをかに いつかきなかむ

刀理宣令
もののふの石瀬の社のほととぎす今も鳴かぬか山の常蔭に


後撰集・恋 元方
竜田河たちなば君が名を惜しみ岩瀬の杜のいはじとぞ思ふ

俊頼
水上にもみぢ散るらしかみなびのいはせのさなみ紅にたつ

俊成
散らばちれ岩瀬のもりの木枯しにつたへやせましおもうことのは

俊成
思ふこと岩瀬の森の呼子鳥あはれしれらむ人のきけかし

定家
春来ぬといはせの杜のうぐひすの初音を誰につげはじむらむ

定家
神なびのいはせの杜のいはずとも知れかし下に積るくち葉を

新勅撰集・夏 正三位知家
ゆふぐれは なつよりほかを ゆくみづの いはせのもりの かげぞすずしき