和歌と俳句

志貴皇子

万葉集・巻第一・雑歌
采女乃 袖吹反 明日香風 京都乎遠見 無用尓布久

采女の袖吹きかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く

万葉集・巻第一・雑歌
葦邊行 鴨之羽我比尓 霜零而 寒暮夕 倭之所念

葦辺行く 鴨の羽交ひに 霜降りて 寒き夕は 大和し思ほゆ

>万葉集・巻第三・雑歌
牟佐〃婢波 木末求跡 足日木乃 山能佐都雄尓 相尓来鴨

むささびは 木末求むと あしひきの 山のさつ男に あひにけるかも

万葉集・巻第四・相聞
大原之 此市柴乃 何時鹿跡 吾念妹尓 今夜相有香裳

大原の このいち柴の いつしかと 吾が思ふ妹に こよひあへるかも

石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも

神なびの石瀬の社のほととぎす毛無の岡にいつか来鳴かむ