和歌と俳句

額田王

万葉集・巻第一
金野乃美草刈葺屋杼礼里之兎道乃宮子能借五百磯所念

秋の野のみ草苅り葺き宿れりし兎道の宮処の仮盧し思ほゆ

万葉集・巻第一
燹田津尓船乗世武登月待者潮毛可奈比沼今者許藝乞菜

熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は榜ぎ出でな

万葉集・巻第一
莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣吾瀬子之射立爲兼五可新何本

■■■■■■■■■■■■吾が背子がい立たせりけむ厳橿がもと

仙覚の万葉集註釈では ゆふ月のあふきてとひし
契沖の万葉代匠記では ゆふ月のおほひなせそ雲
賀茂真淵の万葉考では 紀の国の山越えてゆけ
本居宣長の玉勝間では 竈山の霜きえてゆけ

万葉集・巻第一
三輪山乎然毛隠賀雲谷裳情有南畝可苦佐布倍思哉

三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや

万葉集・巻第一
茜草指武良前野逝標野行野守者不見哉君之袖布流

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

万葉集・巻第二・相聞
古尓戀良武鳥者霍公鳥蓋哉鳴之吾念流碁騰

いにしへに恋ふらむ鳥はほととぎすけだしや鳴きし我が恋ふるごと

万葉集・巻第二・相聞
三吉野乃玉松之枝者波思吉香聞君之御言乎持而加欲波久

み吉野の玉松が枝ははしきかも君が御言を持ちて通はく

万葉集・巻第二・挽歌
如是有乃懐知勢婆大御船泊之登萬里人標結麻思乎

かからむとかねて知りせば大御舟泊てし泊まりに標結はましを

万葉集・巻第四・相聞
君待登吾戀居者我屋戸之簾動之秋風吹

君待つと我が恋ひ居れば我がやどの簾動かし秋の風吹く