若山牧水

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われ歌を うたへりけふも 故わかぬ かなしみどもに うち追はれつつ

真昼日の ひかり青きに 燃えさかる 炎か哀し わが若さ燃ゆ

海哀し 山またかなし 酔い痴れし 恋のひとみに あめつちもなし

風わたる 見よ初夏の あを空を 青葉がうへを やよ恋人よ

空の日に 浸みかも響く 青々と 海鳴るあはれ 青き海鳴る

海を見て 世にみなし児の わが性は 涙わりなし ほほゑみて泣く

白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ

あな寂し 縛められて 黙然と 立てる巨人の 石彫まばや

海断えず 嘆くか永久に さめやらぬ 汝みづからの 夢をいだきて

闇の夜の 浪うちぎはの 明るきに うづくまりゐて 蒼海を見る

わが胸ゆ 海のこころに わが胸に 海のこころに あはれ糸鳴る

わがまへに 海よこたはり 日に光る この倦みし胸 何にをののく

戸な引きそ 戸の面は今し ゆく春の かなしさ満てり 来よ何か泣く

みな人に そむきてひとり われゆかむ わが悲しみは ひとにゆるさじ

蒼穹の 雲はもながる わだつみの うしほは流る われ茫と立つ

夜半の海 汝はよく知るや 魂一つ ここに生きゐて 汝が声を聴く

われ寂し 火を噴く山に 一瞬の けむり断えにし 秋の日に似て

闇冷えぬいやがうへにも 砂冷えぬ 渚に臥して 黒き海聴く

あなつひに 啼くか鴎よ 静けさの 権化と青の 空にうかびて

狂ひ鳥 はてなき青の 大空に 狂へるを見よ くるへる女

おもひみよ 青海なせる さびしさに つつまれゐつつ 恋ひ燃ゆる身を

君来ずば こがれてこよひ われ死なむ 明日は明後日は 誰知らむ日ぞ

泣きながら 死にて去にけり おん胸に 顔うづめつつ 怨みゐし子は

われ憎む 君よ真昼の 神のまへ 燭ともすほどの 藹たきひとを

然なり 先づ春消えのこる 松が枝の 白の深雪の 君とたたへむ

玉ひかる 純白の小鳥 たえだえに 胸に羽うつ 寂しき真昼

黒髪の かをり沈むや わが胸に 血ぞ湧く創ゆ しみ出るごとく

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