若山牧水

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ふるさとの 尾鈴の山の かなしさよ 秋もかすみの たなびきて居り

朝づく日 うすき紅葉の 山に照り つちもぬくみて 鵯鳥の啼く

独りなれば 秋の小山の 日だまりの 朝の日かげを 酒と酌まうよ

ほと照れり わが吸ふほどの 風もなき 山の窪地の 秋の朝の日

蝋燭の ともるにも似む 朝づく日 かなしき山を わが歩み居り

眼や病める 涙ながれて はてもなし 秋の朝日の 裏山行けば

秋のおち葉 栴檀の木に かけあがり 来よと児猫が われにいどめる

爪延びぬ 爪を剪らむと 思ひ立ち 幾日すぎけむ、日々窓晴るる

まだら黄に 枯れゆく秋の 草のかげ 啼くこほろぎの 眸の黒さかな

草山に 膝をいだきつ まんまろに 真赤き秋の 夕日をぞ知る

草山に ねてあるほどに あかあかと 去にがてにすと 夕日さすなり

樹のかげぞ ながうなりゆく 山の端の 秋の夕日に 染みつつ居れば

阿蘇荒れの 日にかもあらめ うすうすと かすみのごとく 秋の山曇る

ながめゐて なつかしがりし この山に いまこそ登れ なみだのごとく

血啜ると だにの児 はだに這ふにや似む 夕日の山を わが攀ぢのぼる

浮みいで 松のみ青く ひかり居り けはしき山の 秋の夕日に

秋の夕日に うかみ煙れる 山山の 峰かぞへむとして こころさびしき

心より 落ち散れる葉に ものいはむ さびしきわれと なる日ありや、森

秋の山 柴にひそめる だにの児も いまは夕日の いろに染みゆく

母が飼ふ 秋蚕の匂ひ たちまよふ 家の片すみに 置きぬ机を

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