水桶にうなづきあふや瓜茄子
我泪古くはあれど泉かな
涼しさに麦を月夜の卯兵衛哉
我庵に火箸を角や蝸牛
時鳥画になけ東四郎次郎
絹着せぬ家中ゆゆしき更衣
みじか夜や六里の松に更たらず
兼好は絹もいとはじ更衣
蝉も寝る頃や衣の袖たたみ
夏河を越すうれしさよ手に草履
離別れたる身を踏込で田植哉
一雨の一升泣やほととぎす
春過てなつかぬ鳥や杜鵑
弓取の帯の細さよたかむしろ
昼がほやこの道唐の三十里
半日の閑を榎やせみの声
兵どもに大将瓜をわかたれし
大仏のあなた宮様せみの声
昼顔や町になりゆく杭のかづ
雷に小家は焼れて瓜の花
廿日路の背中にたつや雲の峰
飛のりの戻り飛脚や雲の峰
東へも向磁石あり蝸牛