和歌と俳句

松尾芭蕉

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姥桜さくや老後の思ひ出

年は人にとらせていつも若夷

花の顔に晴うてしてや朧月

盛なるにす手引風も哉

あち東風や面々さばき柳髪

餅雪をしら糸となす

にあかぬ嘆やこちのうたぶくろ

なつちかし其口たばへ花の風

うかれける人や初瀬山桜

糸桜こやかへるさの足もつれ

風吹けば尾ぼそうなるや犬櫻

春立とわらはも知やかざり縄

きてもみよ甚べが羽織花ごろも

花にいやよ世間口より風のくち

植る事子のごとくせよ児櫻

目の星や花をねがひの糸櫻

天びんや京江戸かけて千代の春

此梅に牛も初音と鳴つべし

我も神のひさうやあふぐ梅の花

門松やおもへば一夜三十年

大比叡やしの字を引て一

猫の妻へついの崩れより通ひけり

竜宮もけふの塩路や土用干

先しるや宜竹が竹に花の雪

庭訓の往来誰が文庫より今朝の春