門松やおもへば一夜三十年 芭蕉
幾霜に心ばせをの松かざり 芭蕉
門松やうしろにわらふ武庫の山 鬼貫
松かざり伊勢が家買人は誰 其角
松かざりはや花鳥を急なる 杉風
月雪のためにもしたし門の松 去来
門松の雪あたたかに降りにけり 涼菟
門松やひとりし聞は夜の雨 一茶
高砂の松の二タ子が門の松 子規
門松の其中に立つ都かな 虚子
大家や出口出口の松かざり 子規
門松と門松と接す裏家哉 子規
門松やわがほととぎす発行所 子規
松立てて空ほのぼのと明る門 漱石
松立てて門鎖したる隠者哉 漱石
門松や我にうかりし人の門 虚子
門松や五軒長屋の端の家 虚子
松立てて古き馬屋の雀の巣 普羅
門松や雪のあしたの材木屋 蛇笏
門松のやゝかたむくを直し入る 石鼎
雪国のありとも見えず松飾 かな女
門松やあひだあひだの枯柳 風生
賑かに人の出入りや松飾 淡路女
かくれ家も世に交りけり松飾 淡路女
ふりいでし雪の中なり松飾 万太郎
鯨船松飾してかかりたり 風生
鮫あげし室戸の船は松かざり 秋櫻子
その中の緑の船や松飾 石鼎
蒼海や揚船みんな松立てて 石鼎
掘割をまへの門なる松飾 万太郎
松飾り一億のこころ今ぞあらた 鷹女
松飾しんしん青し兵に書く 鷹女
家建てて新墾の夫婦松かざり 蛇笏
母の無き子馬柱に松飾り 草田男
門松や只大雪の積もり居り 石鼎
松立てて繁華の中の小廬かな 風生