口馴し百や孫子の手毬うた 太祇
鳴猫に赤ん目をして手まり哉 一茶
まりそれてふと見附たる雲雀哉 一茶
十ついて百ついてわたす手毬かな 虚子
日暮るるに取替へてつく手毬かな 鬼城
手毬かがるひとりに障子日影かな 蛇笏
うたたびやつけばもつるる毬の絲 蛇笏
手毬つく唄のなかなるお仙かな 蛇笏
庭訓によるともどちや手毬唄 蛇笏
廊わたる月となるまで手鞠かな 蛇笏
我が門やよその子遊ぶ手毬唄 淡路女
二三日衣桁のかげの手毬かな 喜舟
手毬もつてかなしきときも遊ぶかな 月二郎
妻やがて面白くなる手毬かな 月二郎
うろ覚えの皆恋の唄手毬つく かな女
教へ子のみな上手なる手毬哉 みどり女
ちらかりて手毬もありぬ部屋のうち 淡路女
手毬子よ三つとかぞへてあと次がず 亞浪
手毬つく髪ふさふさと動きけり 波津女
縢終へん糸一すぢにころげ毬 石鼎
ころげ毬みつめぬとまるところまで 石鼎
船客の子が麗貌のてまりかな 蛇笏
抱へたる大緋手鞠に酔ふごとし 蛇笏
木場の子は材木に乗り毬つけり 風生
人のつく手毬次第にさびしけれ 汀女
まろびたる娘より転がる手毬かな 虚子
手鞠つくてんてん響きくる書斎 青邨
手毬唄かなしきことをうつくしく 虚子
多摩の子は椿の下に手毬抱き 風生
まり唄や二百を越せば男めき 普羅
良寛の遊びしといふ手鞠見る 夜半
佝僂の子の帯うつくしき手毬かな 麦南
手毬唄おぼえし頃の任地かな 汀女
母姉と謡ひ伝へて手毬唄 虚子
正月の月が明るい手まり歌 綾子
雪さそふものとこそ聞け手毬唄 万太郎
手毬唄哀しかなしきゆゑに世に 万太郎
手毬唄きこゆる生涯の家と思ふ 林火
善鄰の意にかかはらず手鞠唄 蛇笏
日向ゐて影がまつくら手毬つく 多佳子
あづま路は猿ほめはやす手毬唄 秋櫻子
手毬の娘寝し頃月の美しく 青畝
死ぬまでは生きねばならぬ手毬手に 風生
よどみなく童女うたふや手毬唄 秋櫻子
手毬唄猿の装束うたひけり 秋櫻子
古手毬待てば湧く唄口の内 楸邨
妻が待つ継ぐもののなき手毬唄 楸邨
左右の手につきて乱れず手毬唄 秋櫻子
毬唄や関のひがしは昔ぶり 秋櫻子
この世よりあの世思ほゆ手毬唄 林火