橙に手をとゞかせて見たりけり
初凪や波に戯れ二少年
羽根つくや穴八幡はさびしけれ
初凪や白髯橋はうすうすと
輪飾のかけられてある杭かな
橙を机に取つて松納め
初詣帝釈さまのよもぎもち
をなごらのたのしみきざむ若菜かな
矢桶よりとつてたまはる破魔矢かな
七福の一福神は鶴を飼ふ
福笹をかつげば肩に小判かな
神の矢のましろきを受けむ初詣
簪のゆれつゝ下る初詣
石段を下るが嬉し初詣
をみなたち春著の帯を垂れ垂れたり
七草のはこべら莟もちてかなし
七草の芹むらさきに生ふるなり
蒲公英の座を焦してむ飾焚く
元日の灯をともしマリヤあでやかに
元日のマリヤの灯老の杖照らす
臘涙しげく元日のマリヤさま
マリヤ拝み人々新たなる年を
初鏡清和源氏の慓悍を
手毬つくてんてん響きくる書斎
筆立の山鳥の尾の初日かな
初富士のかなしきまでに遠きかな
たまはれる破魔矢は恋の矢としてむ
みちのくの青きばかりに白き餅
赤鼻の池田の朝臣初夢に
庭の松焚きかぐわしき初湯かな
長身のひかへの射手や弓始
生涯の句なり君とりてよ初句会
梅の梢狂ふ舞初うつくしく
餅花や夕月はやも軒の端に