梓川瀬音たかまるキヤンプかな
嶺の星いろをかへたるキヤンプかな
水鶏ゐて波の穂白く明けそめぬ
峡くれば鶺鴒ひそむ蕗の中
のぼり鮎すぎてまた来る蕗の雨
遅き月蕗にさしゐる河鹿かな
うつつなく昼の蛍は蚕屋に匐ふ
蚕筵洗ひて浮葉いためけり
夏雲雀あがりし蕗のあらしかな
駅の名を少女は知らず田を植ゑぬ
波ゆけば浮葉にともる蛍かな
堰の水あふれて青き藺をひたす
夜の日覆涼しき風のひそみける
朝刊はつとに来てゐぬ合歓のかげ
白薔薇は雨に耐へをり明日知らず
枝蛙真夜を鳴くなり堪へがたし
妻が名をわがよびにけり枝蛙
枝蛙鳴けよと念ふ夜の看護
野馬追も近づき 樗咲きにけり
駒とめて野馬追の武者水を乞ふ
梅雨の月巣ごもる鷺ぞ鳴きにけり
梅雨の月巣ごもる鷺の真白きを
梅雨の月白鷺羽搏つこと幽か
白鷺の白さが寂し巣ごもれば