和歌と俳句

麦踏

出ばやな籬の野べの麦踏に 白雄

藪風を聞いてはかへし麦踏めり 禅寺洞

しばしばのなゐのあとなる麦踏めり 禅寺洞

麦踏に足の湯とるや三日の月 泊雲

麦踏や寒さに堪へて小刻みに 泊雲

麦踏や顔傾けて風に堪ゆ 泊雲

麦踏やむき振替へて向ひ風 泊雲

麦ふむや畝一筋に道埃 青畝

踏む麦の夕焼けて来し寂しさよ 草城

麦踏んで戻りし父や庭にあり 虚子

足あげて日もすがらあり麦を踏む 虚子

麦踏んで若き我あり人や知る 虚子

麦踏も庵の眺の一つかな たかし

麦踏にさつと移りし暮色かな 月二郎

風の日の麦踏み遂にをらずなりぬ 虚子

頂に麦踏んでゐる人見ゆる 立子

渡舟守いとまのあれや麦ふみに 楸邨

麦踏の遠目のうちに未だあり 汀女

麦踏も鳶の描く輪もくりかへし 風生

麦踏の影たゆみなく午過ぬ 麦南

麦踏の母の居そめて父も又 青畝

丘の松めぐりてひと日麦を踏む 秋櫻子

麦踏の出てゐる島の畑かな 素十

ある時はものおもふまじと麦を踏む 

麦踏めりこころ屈する背をかがめ 誓子

麦踏に檻あるごとし薄日さす 不死男

榛の木が麦踏に来い来いと呼ぶ 静塔

麦踏みに隔世の顔なかりけり 不死男

麦を踏むいづこも字は森を立て 静塔