和歌と俳句

吉岡禅寺洞

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蝌蚪の水に煙草火投げて訪ひにけり

海苔買ふや追うはるる如く都去る

浪かげに生るる芥弥生尽

永き日や垣の上なる畑つづき

行春の道に佇めば海女の笛

温泉飲めるもある群象や春灯

つちくれに歩きかくれて春の鳥

下萌えに餌おしつけて鹿の口

あめつちの中に青める蚕種かな

湿連の莚またぐに随へり

びらう樹の下にかがめば日永かな

大空の下にあるき来て花御堂

落椿まばらになりてかへり見る

ひもろぎや旧正月のかけ大根

藪風を聞いてはかへし麦踏めり

うちまじり葬送凧もあがりけり

春昼や塀の内なる畑つくり

遅き日や岩のうしろの潮の花

ぢか火とて紺青焦げし目刺かな

鳥ゐるや清明節のつちくれに

春めくや銀ほどきたる猫柳

啓蟄や日暈が下の古畠