和歌と俳句

西島麦南

餅花にともし隈なき大廈かな

浦波にただよふ羽子のありにけり

妻隠にあづまをくだる傀儡師

初富士に牢獄の扉はめしひたり

松過ぎし勤労の餉にたんのうす

玉の緒のがくりと絶ゆる傀儡かな

朝夕の潮の遠音も羽子日和

働かぬ手にいただくや雑煮箸

佝僂の子の帯うつくしき手毬かな