和歌と俳句

高野素十

元日や新苫かけてもやひ船

元日は大吹雪とや潔し

女坂人声のして初詣

ばらばらに飛んで向うへ初鴉

輪飾のかたまり合うて燃えにけり

初凪や艪をおすも亦一水兵

小説を立てならべたる上に羽子

繭玉や夕はやけれど灯しけり

あおあおと春七草の売れのこり

お降りといへる言葉も美しく

薮入の母の焚く炉の煙たさよ

年酒酌むふるさと遠き二人かな

ははそはの母にすすむる寝正月

薮入の母の焚く炉の煙たさよ