和歌と俳句

篠原鳳作

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夜々白く厠の月のありにけり

コスモスの日南の縁に織りにけり

慈善鍋キネマはてたる大通り

秋の蚊のぬりつく筆のほさきかな

ままごとの子等が忘れしぬかご

帰り咲く幹に張板もたせけり

凍て蜜柑少し焙りてむきにけり

懐ろ手して火の種持ちにけり

山茶花の花屑少し掃きにけり

くるわの空に唸り居り

宮裏の一樹はおそき紅葉哉

園長の来て凍鶴に佇ちにけり

茎桶に立てかけてある箒哉

秋の蝶とぢてはひらく翅しづか

灯台の日蔭の麦を踏みにけり

籾莚踏み処なくほされけり

麦門冬の実の紺青や打ち伏せる

麦門冬の実の流れ来し筧かな

横むいて種痘のメスを堪えにけり

草餅や弁財天の池ほとり