和歌と俳句

篠原鳳作

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萍のほどなく泛子をとざしけり

傘焼に篠の雨とはなりにけり

浜木綿に籐椅子出してありにけり

うつしみの裸に焚ける門火哉

わらんべの裸にかかむ門火哉

芦の間に門火焚く屋のありにけり

新涼や再び青き七変化

組かかけし稲架の蔭なる昼げ哉

一鉢の懸崖菊に風がこひ

花葛や巌に置かれし願狐

颱風や坊主となりし青芭蕉

蟻の列御輿もありて続きけり

薩摩路や茶店といはず懸煙草

熔岩を伝ふ筧や葛の花

道をしへ塚の上より翔ちにけり

滝川を渉りて灯す祠哉

いろいろの案山子に道のたのしさよ

合住みの友をたよりや風邪籠り

探梅の馬車ゆるることゆるること

地下室は踊のにはや犬橇の宿