和歌と俳句

篠原鳳作

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ほほづきの青き提灯たれにけり

蝶々の眩しき花にとまりけり

子蟷螂しきりと斧をなめにけり

鮎の宿氷の旗をかかげたる

田草取日除の笹を背負ひをり

滝の道しだいにほそし道をしへ

砂つぶて飛ばしそめけり蟻地獄

大いなる柱のもとの蟻地獄

鬼灯を鳴らしつつ墨すりにけり

はしたなき昼寝の様をみられけり

大いなる誘蛾灯あり試験場

端居して闇に向へる一人かな

誘蛾灯築地のすそに灯りたる

枇杷売の櫻島の乙女の跣足かな

烏瓜藪穂おどりて引かれけり

鰯雲月の面てにかかりそむ

かなかなの遠く鳴き居る月夜哉

十字架もぬぎて行水つかひけり

誘蛾灯門内深く灯りけり

葭の柄のうすうす青き団扇かな