和歌と俳句

篠原鳳作

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蝌蚪一人影先立てて泳ぎくる

春潮や生簀曳きゆくポツポ船

風鈴や灯りそめたる櫻島

熔岩の空を流るる蜻蛉かな

秋晴の熔岩につきたる渡舟かな

明月や海に横たふ熔岩の島

小春日や雲の影這ふ櫻島

熔岩に立ちたる虹の青さかな

鶯を檳榔林に聞きにけり

鶯を檳榔林に聞かんとは

屋根の上にペンペン草やら薊やら

部屋毎にある蛇皮線や蚊火の宿

蛇皮線と籠の枕とあるばかり

炎天や女も驢馬に男騎り

うちかけを着たる遊女や蛍狩

島の春龍舌蘭の花高し

花椰子に蜑が伏屋の網代垣

廻礼も跣足のままや琉球女

鶏合せ古墳の庭に始まれり

浜木綿に流人の墓の小ささよ