和歌と俳句

篠原鳳作

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月の江や波もたてずに独木舟

吹きあほつ日覆のうちの櫻島

犬とゐて春を惜める水夫かな

うるはしき入水図あり月照忌

おぼえある絵巻の顔や月照忌

椰子の月虹の暈きてありにけり

からからに枯れし芭蕉と日向ぼこ

枯芭蕉巻葉ひそめてをりにけり

破れ芭蕉抜けし鶏の如くなり

霜囲ひされし芭蕉と日向ぼこ

掃くほどのちりもなかりし御墓かな

西郷どんと眠りゐる墓掃きにけり

島人や重箱さげて墓参り

掃苔やこごみめぐりに祖の墓

屋根解くや誰が誰やら煤まみれ

美しき人の来てゐる展墓かな

千鳥釣る童等がいこへる礁かな

土の上に地図ひろげあるキヤンプかな

岩の上にロープ干しあるキヤンプかな

冬木影道に敷きゐるばかりなり