門川に流れ藻絶えぬ五月かな
驟雨来る別れの朝の牡丹かな
人の国に来てぞ似つかぬ衣更
別荘の花園の花や更衣
烏鷺に似し客二人あり夏衣
青物を買ふ女房の袷かな
我高く立てんとすなる幟かな
粽師の古き都に住ひけり
薬草を摘み居れば園の孔雀鳴く
篝焚く二タ峰も漁村祭りかな
鶯に若葉嵐や井の頭
神事近き作り舞台や楠若葉
鉱烟もほの匂ふ山や蕗の雨
草茎をさしたる梢藜かな
垂れ首の芥子の高さになりにけり
天領の境に咲くや桐の花
一瓣散り一瓣朴のほぐれ行く
香をさます夕風茨の野道かな
筧浚ふ人も卯の花露明り
麦の秋匈奴逼ると聞えたり
里心麦にふかれて戻るなり
起臥の神鳴月や峰の坊
短夜の大仏を鋳るたくみかな
明易き火焚きをり葉枯れ木の下に